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夜つぐみの鳴くところで

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もしお気に入りの一枚がありましたらご自由にご利用下さい (^^)゚~   ( 1920x1080 )

そこで未完成交響曲である。

 NHK-BS 「玉木宏 音楽サスペンス紀行 マエストロ・ヒデマロ 亡命オーケストラの謎」 を見た。

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 戦前からヨーロッパ・ドイツを拠点に活躍した日本人指揮者・近衛秀麿には、
 「表の顔」からは想像もできない、もう一つの顔があった。
 刻一刻と激しさを増すナチスのユダヤ人弾圧の嵐の中で、
 多くのユダヤ人たちを国外に脱出させ命を救っていたというのだ。

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 「死の都」に響いた「未完成交響曲」〜1943.9.28 戦火のワルシャワ公演を再現する〜
 世界の音楽史に残る日本人指揮者・近衛秀麿のワルシャワ公演を、60名のポーランド人演奏家で編成された
 オーケストラが演奏、指揮者にはウィーン大学名誉教授の前田昭雄氏を迎え、現代によみがえらせる。

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 当時の交響曲は 「アレグロ・ソナタ - 緩徐楽章 - スケルツォ - フィナーレ」 の4楽章から構成される。
 シューベルトも当然その様に考えて進めていったと思われるのだが、何故か途中で中断してしまった。
 第2楽章までを完全に完成させ、第3楽章のスケッチまで仕上げながらである。
 シューベルトはまだ25歳であったが、続く交響曲である「グレート」を先に仕上げてしまうのだ。
 「ロ短調交響曲」に興味を失ったのか、新たに湧き上がって来た「ハ長調交響曲」の虜になったのか、
 はたまた第3楽章のスケットがイマイチで先に進めず単に保留していただけなのだろうか。
 しかし彼はこの曲を完成させる事なく31歳でなくなってしまうのである。
 これによりロ短調の交響曲は、第2楽章までの「未完成交響曲」となってしまったのであった。

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 この曲はそもそも第8番と呼ばれていた。
 その後のドイチュ番号 (D) の改定により、自筆譜のままで演奏できるという意味で完成されている
 7番目の交響曲であることから第7番として整理された。

 そこで独断と偏見? によるイチオシの演奏である。
 今回の再現演奏もその背景を知ると胸に迫るものがあるのだが、客観的な作品解釈としてはどうであろうか。
 4楽章の作品として捉えても2楽章完結と捉えても難しく、実際にあまり面白くないと思われる演奏も数限り
 ないのである。

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 胸に響く演奏が少ないなかここは冷静沈着なサヴァリッシュ先生にご登場願おう。
 何ら奇をてらう事なく作品の本質を淡々とえぐり出していると感じる演奏である。
 第2楽章が終わった後、わかっていても第3楽章が始まるのを待ってしまうのだ。

 ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮 ドレスデン・シュターツカペレ 1967年録音 です。



 こちらは カラヤン指揮 ベルリン・フィル 1965年 です。
 帝王の風格を感じさせますが、シューベルトの優しい眼差しは浮かばない。




 こちらが 近衛秀麿指揮 読売日本交響楽団 1968年 です。
 あのワルシャワでの演奏から25年、亡くなる4年前の70歳での録音です。
 譜面は普通版だと思われますが、演奏・録音とも何と素晴らしい未完成であることか!



 日本のプロ・オーケストラの祖であり、ヨーロッパで一流の指揮者としての地位を確立しながらも、
 藤原氏直系の公家で時の総理大臣の弟という特殊な出自のためか、
 その後の日本音楽界ではとかく正当に評価されてこなかった伝説的な音楽家、近衛秀麿。
 近年の研究では、彼の実力がいかに当時のヨーロッパ音楽界で評価を得ていたのか、
 いかなる時代の波に揉まれその波瀾を乗り越えて来たのか、
 そんなドラマティックな事実が明らかになってきたのです。


最後になりましたが、シューベルトが残した「ロ短調交響曲」の第三楽章スケッチはこちらです。
うーん 素敵なメロディですね。
頭の中でオケが鳴ってしまう。
未完成だった謎は解けましたでしょうか?



by Bluenotejoy | 2017-07-31 17:00 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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